誰に笑われたって良い。
もうこの国に、本当の武士なんていないのだから。
いるとしたらそれは、新撰組の仲間たちだけだ。
しきたりも矜持も、すべて捨ててしまえ。
どんな恥だって、あたしたちが胸を張っていれば、それは誇りに変わるはずだ。
散っていく命の重みを知っているあたしたちだからこそ、生き延びなきゃ。
「どんなに無様でも惨めでも、諦めない総司が好き」
後ろからぎゅっとしがみつくと、総司はその腕で、あたしの体をそっと離した。
そして体を反転させると、あたしをその胸にすっぽりと包み込んだ。
「……お前がいてくれてよかった」
胸板の厚みが違う。においが違う。声が違う。
指の細さも、手のひらの大きさも、全部全部、違う。
でも、どうしてだろう。
腕の中の安心感は、一緒なの。
「悪いけど、もうお前を離す気はないから。
辛い戦いばかりの日々になるだろうが、覚悟しておけよ」



