幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



ぎゅっと、総司の手に力がこもる。


感触は少し変わってしまったけれど、その温かさは依然と変わらない。


「お前は……愚かだと笑うかもしれねえけどな。

主君と呼べる人と、兄と慕った人を助けられなくて、目の前で失って……それでも腹を切らずに生きようとする俺のどこが、武士だって。

生き恥をさらしているだけだって」


総司は顔を背けたまま、苦笑しているみたいだった。


声の調子が、自分自身を笑っているような、そんな気がした。


「笑うわけないじゃない」


たしかに、昔はあたしも、総司が死んだら自分の腹を切ろうと思っていた。

虚勢じゃなくて、本当にそう思っていた。


主君が亡くなったら、自らも腹を切るのが、当然だと思っていたから。

でも、今は違う。


「生きようとすることのどこが恥なの?」