幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「悪いな……総司」


返り血を浴びた土方さんの顔が、苦しそうに歪んだ。


その手は、総司の血で真っ赤に染まっていた。


「こうでもしなきゃ……お前は俺の形見を、受け取ってくれねえだろ……?」


総司の横に寄り添うように、土方さんの体が倒れる。


その胸から、光の球体が抜け出そうとしていた。


「やってくれ、斉藤……」


「……御意!」


覚悟を決めたように、斉藤先生はその瞳ににじんでいた涙を振り払った。


そして、目を閉じて真言を唱え始める。


「総司、総司……!」


総司の口から、ごぼりと血が吐き出される。


苦しいようで、呼吸がたちまち荒くなり、だんだんとそれが細くなっていく。


総司の体の寿命が尽きる……。


切れ長の瞳も、黒い髪も、長い指も、広い背中も、何もかも、ただのかたまりになってしまう。


そう思うと切なくて、あたしの方がちぎれてしまいそうだ。