幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



たしかに、父と母は、任務で赴いた遠方の地でコレラにかかって死んだ。


母はあたしと同じ能力を持っていたはずなのに……。


だから、総司の人狼化による影響を完全になくすことができないの?


「土方歳三に宇都宮でかけた呪術は、板橋で近藤を殺ったのと同じもの。
あれは、体から魂を離れさせ、消滅させるという術だ」


「な……っ」


そう言われれば、近藤局長はあの呪符を食らって、魂が先に滅ぼされた。


そのあとで、まだ温かかった体が冷たくなっていったんだ。


「土方は、心身共に強靭なようだな。まさかここまでもつとは思わなかった」


「失敗したんじゃないの?」


「いいや、俺が開発したこの術は、完璧だ」


朧は自信満々に微笑む。


それは残酷なほど美しくて、そして憎かった。


まだ若い朧自身が作った術。


ということは、あたしの血では、対抗できないということ……。


そういえば、土方さんが突然ぼーっとしたようになるのは、もしかしてそのせいなの?


魂が、体から離れかけてしまっているから?