斉藤先生は文を受け取ると、雨に濡らさないよう、すぐにシャツのボタンを開け、懐へそれをしまった。
「平助は他の場所にいて……送ってやりたいが、そうもいかない。
どうか無事に、帰ってくれ」
そう言っている間にも、隠れている戸板を、銃弾がかすめる。
「はい。斉藤先生もどうか御無事で」
「俺は大丈夫だ。早く行け!」
斉藤先生がそう言うと同時、城の門が開き、中から刀を持った兵たちが流れだしてきた。
「斬り込め!!」
斉藤先生が叫ぶと、刀を持った新撰組隊士たちが一斉に駆け出した。
あたしは味方の軍に巻き込まれないように脇に逸れると、馬を繋いだ場所へ向かい、走りだす。
味方と逆の方向へ走らなきゃならないなんて……。
誰もいない茂みの中で、思わず立ち止まる。
同志が命を懸けて戦っているのに、あたしは本当にここで逃げていいのか?
持っているのは苦無と手裏剣が数本。
そんなものじゃ銃が主戦力の戦で役に立てるわけがないのはわかってる。
だけど……。



