幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「それなら俺も」


「お前はでかいから目立つんだよ。ここはちっこい楓に任せておけ」


「そうだよ!」


ちっこいって、ちょっとけなされた気もするけど、そこは忘れよう。


「でも、危険じゃないですか」


「文を届けるだけだ。楓、敵と遭遇しても戦うなよ。命をかけて逃げてこい」


命をかけて戦う、じゃなくて逃げるのね。


「はい!大丈夫、あたしは元くのいちなんだから」


忍は書いて字のごとく、忍ぶのが得意なんだもん。


隠れてささーっと移動するのが忍者ってもんよ。


「へっぽこじゃねえか」

「へっぽこだけどな」


総司と土方さんが口をそろえて突っ込んできた。


こんな時だけ結託して、ひどい!


「へっぽこ言うな!」


あたしは土方さんの手から文をひったくると、すぱーんと襖を開け、どすどすと廊下を歩いていった。