幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「まだ何も言ってないじゃないですか」


「どうせ、白河に行きたいとか言い出すんだろ。
斉藤の足手まといになる。やめておけ」


「ぐっ……」


図星をつかれた総司は、悔しそうに唇を噛んだ。


宇都宮での戦い、そして板橋での狼化と、だいぶ無理をしたもんね。


しかも、夜じゃなくても自分の意志で狼化できるようになってしまった。


頭ではわかっていても、いざ激しい戦いになると我を忘れて無理をしてしまう。


総司のそんなところをわかっているから、土方さんは心配しているんだろう。


けど、いくら足手まといでもそうハッキリ言われちゃ、総司も悔しいよね。


「楓、代わりにお前に頼みがある」

「えっ。なんでしょう?」


総司じゃなくて、あたしに?珍しいな。


「至急斉藤に届けてほしい文がある。行けるか」


そういえば土方さん、昨夜夜遅くまで起きているみたいだった。


「はい!」


少しでも、戦場で命をかけている仲間の役に立てるかもしれないと思うと、自然とうなずいていた。