「まだ何も言ってないじゃないですか」
「どうせ、白河に行きたいとか言い出すんだろ。
斉藤の足手まといになる。やめておけ」
「ぐっ……」
図星をつかれた総司は、悔しそうに唇を噛んだ。
宇都宮での戦い、そして板橋での狼化と、だいぶ無理をしたもんね。
しかも、夜じゃなくても自分の意志で狼化できるようになってしまった。
頭ではわかっていても、いざ激しい戦いになると我を忘れて無理をしてしまう。
総司のそんなところをわかっているから、土方さんは心配しているんだろう。
けど、いくら足手まといでもそうハッキリ言われちゃ、総司も悔しいよね。
「楓、代わりにお前に頼みがある」
「えっ。なんでしょう?」
総司じゃなくて、あたしに?珍しいな。
「至急斉藤に届けてほしい文がある。行けるか」
そういえば土方さん、昨夜夜遅くまで起きているみたいだった。
「はい!」
少しでも、戦場で命をかけている仲間の役に立てるかもしれないと思うと、自然とうなずいていた。



