幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「土方さん?土方さん、見えてますか?」


土方さんの視線が、宙を舞ったまま定まらない。


総司が心配して、彼の目の前で手のひらを振る。


「あ……ああ、大丈夫だ。すまねえな、楓」


ハッとした顔の土方さんは総司から離れると、ふうと息をついた。


ちょっとぼんやりしただけだったの?


「すげえな、お前の血は。一瞬で治っちまった」


「土方さん、今みたいな発作はいつから?」


「今が初めてだ。ふわっとめまいがすることはあったが……」


総司がお茶をすすめると、土方さんはそれを勢いよく喉に流し込む。


良かった。胸の痛みや息苦しさはなくなったみたい。


「とにかく、お前の手当てをしよう」


そう言って土方さんは立ち上がろうとする。


そんな彼を制し、総司が薬や包帯を荷物から取り出し、あたしの傷の手当てをしてくれた。


その間、土方さんはまたぼんやりと宙をにらんでいるような顔をしていた。