「さ、そろそろ戻るか……」
土方さんがすっと立ち上がる。
その瞬間、彼の体がぐらりと揺れた。
「土方さん!?」
総司が咄嗟に、土方さんの体を支える。
彼は胸を押さえて総司に寄りかかり、奥歯をかみしめていた。
これは……ただのめまいや立ちくらみじゃなさそう。
「どこか痛いんですか?」
あたしは荷物の中から短刀を探し、鞘を捨てると手首に当てた。
怪我は治せないけど、呪術や病なら、あたしの血でなんとかなるはず。
けれど、その手は刃を引く前に止められてしまった。
短刀の柄を、いつの間にか土方さんが握っていた。
「やめろ……。総司以外に、簡単に血をやるんじゃねえ」
苦しそうに息を吐きながら、額に汗を浮かべる。
そんな様子なのに、放っておけるわけがない。
「離してください」
「いいからしまえ。局長命令だ!」
土方さんは怒鳴ると、総司の手の中に崩れ落ちた。



