幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「さ、そろそろ戻るか……」


土方さんがすっと立ち上がる。

その瞬間、彼の体がぐらりと揺れた。


「土方さん!?」


総司が咄嗟に、土方さんの体を支える。


彼は胸を押さえて総司に寄りかかり、奥歯をかみしめていた。


これは……ただのめまいや立ちくらみじゃなさそう。


「どこか痛いんですか?」


あたしは荷物の中から短刀を探し、鞘を捨てると手首に当てた。


怪我は治せないけど、呪術や病なら、あたしの血でなんとかなるはず。


けれど、その手は刃を引く前に止められてしまった。


短刀の柄を、いつの間にか土方さんが握っていた。


「やめろ……。総司以外に、簡単に血をやるんじゃねえ」


苦しそうに息を吐きながら、額に汗を浮かべる。


そんな様子なのに、放っておけるわけがない。


「離してください」


「いいからしまえ。局長命令だ!」


土方さんは怒鳴ると、総司の手の中に崩れ落ちた。