幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「人が来るかもしれないでしょ。ほら、髪拭いて」


あたしは洗ってあげた総司の髪を、乱暴に頭を抱えて手ぬぐいでゴシゴシこすってやった。


「わかったわかった。自分でやる」


総司はくすくす笑いながら、手ぬぐいを受け取った。


もう……からかったな。


着替えを済ませて髪を結い直し、客室でお茶を飲んでいると、土方さんがお寺から戻ってきた。


「どうだった?なかなかいい湯だっただろ?」


「はい!ありがとうございました!」


ふっと微笑む土方さん。


京では鬼のような彼だったけど、鳥羽伏見以来、こういう人間らしい顔もときどき見せるようになった。


こういうところ、総司に似てるなあ。


さすが、小さい頃から影響を与えてきただけある。


そんなふうに思っていると、着物を着た土方さんの肩から、小さな狐がぴょこんと飛び出した。


「あっ、平助くん!」


「なんだよ二人とも温泉満喫しましたって顔して。ずっるいなー」