幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



そりゃあ、京にいた時代はまだ良かった。


みんな仲が良かったし、元気だった。


でも今は、近藤先生や山南さんや、たくさんの同志を失ってしまった。


それに、幕府はなくなってしまい、将軍は恭順の姿勢を崩さず、新撰組は賊軍と呼ばれ、お尋ね者扱いだ。


「すまんな、総司。
夢が散っていくのを見ているお前やトシは、そりゃあ辛いだろう」


近藤先生は、俺をぎゅっと抱きしめる。


気づけば、頬を涙が流れていた。


辛い。悲しい。苦しい。悔しい。寂しい。


皆で見た夢が、桜のように儚く散っていく……。


「けどなあ、一つの夢が散華してしまったなら、また他の夢を持てばいいんだよ。
お前はまだ、生きているんだから」


体を離し、じっと俺の目を見つめる近藤先生。


その目は、笑っていた。


「死んだ者が望むのは、生きている者の幸せですよ」


山南さんが近くに来て、背中をなでてくれる。


「でも……」


俺の体には、限界が近づいている。


傷だらけになっていく楓の白い腕を見るたび、苦しくて辛くて仕方がない。