そりゃあ、京にいた時代はまだ良かった。
みんな仲が良かったし、元気だった。
でも今は、近藤先生や山南さんや、たくさんの同志を失ってしまった。
それに、幕府はなくなってしまい、将軍は恭順の姿勢を崩さず、新撰組は賊軍と呼ばれ、お尋ね者扱いだ。
「すまんな、総司。
夢が散っていくのを見ているお前やトシは、そりゃあ辛いだろう」
近藤先生は、俺をぎゅっと抱きしめる。
気づけば、頬を涙が流れていた。
辛い。悲しい。苦しい。悔しい。寂しい。
皆で見た夢が、桜のように儚く散っていく……。
「けどなあ、一つの夢が散華してしまったなら、また他の夢を持てばいいんだよ。
お前はまだ、生きているんだから」
体を離し、じっと俺の目を見つめる近藤先生。
その目は、笑っていた。
「死んだ者が望むのは、生きている者の幸せですよ」
山南さんが近くに来て、背中をなでてくれる。
「でも……」
俺の体には、限界が近づいている。
傷だらけになっていく楓の白い腕を見るたび、苦しくて辛くて仕方がない。



