近藤先生の言葉に、奥にしまい込んでいた記憶が甦る。
どんなに忘れたくても忘れられない、母親や二番目の姉に虐待された記憶。
頼れるのは上の姉だけで、その姉も婿を迎えて妊娠し、行き場をなくした自分。
心を閉ざして、周りの何も見たくないと思っていた子供の頃。
そう言われれば、今とその頃は似ているかもしれない。
「そんなに悔やまないでくれ。
あの場にお前や平助、楓くんまで来てくれただけで、どれだけ嬉しかったか」
俺は先生を助けられなかった。
どうしたらそれを悔やまずにいられようか。
黙って唇を噛む俺を見て、先生は苦笑した。
「俺は何も後悔していないぞ、総司。
本当に面白い人生を歩めたと、満足している」
先生は山南さんの方を振り返る。
「なあ、山南さん。面白い夢だったよなあ」
「ええ。農民や脱藩浪人の寄せ集めだった私たちが、誠の武士を目指して、夢中で働いて……私も楽しかったですよ」



