平助くんは立ち上がると、総司の体を立たせようとその腕を力任せに引っ張った。
その瞬間、はげしくせき込む総司。
見かねて銀月さんが力を貸すと、総司はその腕に抱えられ、何とか立てる状態になった。
こんな状態じゃ、局長の遺体を奪還することさえ無理だ。
悔しいけれど、退却しかない。
あたしたちは銃弾の雨から、命からがら逃れることが精いっぱいだった。
「先生!先生……!」
総司は銀月さんと平助くんに抱えられながら、後ろを振り向いては叫んだ。
少し行くと、見物人の「おお」という歓声と、拍手が聞こえた。
きっと、局長の刑が執行されてしまったんだろう。
倒れたまま、首を切られてしまったのだろうか。
想像するのも苦しくて、林の中で膝をついた。
「楓、歩いて!追手が来るよ!」
「わかってる!」
後悔はいつだってできる。ただ今は走れ。生き延びろ。
流山でぶつけられた副長の声が、耳の奥でこだました。
あたしは気力を振り絞って、なんとか立ち上がる。



