「ぁ……っ、……」
朧は悲鳴も上げず、びくりびくりと体を震わせた。
「近藤さん!」
平助くんが局長の元へ走り、倒れていく体を支えた。
けれど、そのまぶたは既に閉じられている。
「ああっ……」
総司が暗い空に昇る、光の玉に手を伸ばす。
けれどそれは局長に帰ることなく、どんどん上空へと昇っていってしまう。
『ちっ!』
銀月さんが朧から牙を離し、空へと舞い上がる。
けれど。
「ふ……もののけも、案外馬鹿だな」
力尽きたと思った朧の声が、背後でした。
その途端、力尽きたはずの朧の体がただの丸太に変わっていく。
変わり身の術だったの?
振り返ると、後ろに立った朧の腕が、懐から何かを取りだそうとしていた。
「……だめっ!」
気づいた瞬間、体が走り出していた。
慌てて苦無を投げつける。
けれどそれより一瞬先に、彼の手は上空に向かい、何かを投げつけた。
「銀月さん、危ない!」
黒い鳥のように見えたそれは、もう一枚の呪符。
銀月さんはあたしの声に反応し、地上を振り返った。



