幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「私にもよくわかりません。たぶんですが、頭領は楓様を守るために、自分の意志で狼化したのでしょう」


「あたしを守るために……」


人間の体のままじゃ、勝てないと思ったから?


「とにかく、朧を何とかしなきゃ!」


狐の姿のままの平助くんが、機会をうかがう。


あたしや銀月さんも攻撃する隙を伺っているのだけど、総司と朧の動きが早すぎて、なかなか手が出せない。


そのうち弾切れとなったのか、朧が小銃を放り投げて捨てた。


その隙に、総司が牙をむき出しにして襲いかかる。


けれど朧はその打撃を腕で防御し、素早く蹴りを繰り出す。


総司も負けずに反応し、それを飛んで避けると、朧の頭上でくるりと回転する。


そして陽炎の時のように、朧の背中を爪で引っ掻いた。


「くっ」


総司はさらに朧の首を捕まえ、牙を突き立てようとする。


けれどその額に肘鉄を食らわせた朧は、すんでのところで狼の牙から逃れ、距離を取った。