「嫌だね!」
あたしは苦無をかまえ、朧と対峙する。
小銃の速さにはちっとも敵わないだろうけど、だからってここからどくわけにはいかない。
裏切り者と呼ばれたからこそ、受け入れてくれた人たちのために、役目を果たさなきゃいけない。
そうだよね、平助くん。
あたしは局長に、総司を頼むと言われたんだ。
「く、そ……っ」
総司がうなったと同時、朧が引き金に指をかけた。
「……死を選ぶか。それもいいだろう」
撃たれる。
そう思った瞬間、苦無を投げた。
けれどそれは簡単に避けられ、向けなおされた銃口が火を噴く。
思わず目をつぶった、その瞬間だった。
「う、がぁあああっ!」
獣の鳴き声がした。
ハッと目を開けると、いつの間にか総司があたしの目の前に立っていた。
「総司!」
短く切った髪からとがった耳が、洋装の袖から鋭い爪がのびた腕がのぞいている。
手はにぎりしめられており、なんでだろうと思った瞬間、それが開かれた。
そこからぽろりと落ちたのは、鉄でできた小銃の弾だった。



