「うわああああっ」
全身が固い鱗で覆われているといっても、相手はただの刀じゃない。もののけの牙だ。
銀月さんの牙は、固い鱗をぶつりと突き破る。
どてばたと蠢くヘビ状の下半身を前足で押さえようとするが、敵も力が強い。
二人はもんどりうち、大きな音を立てて地上に倒れた。
銀月さんは牙を突き立てたまま、相手の力が尽きるのを待っているみたいだ。
「これが、もののけどうしの戦い……」
黙ってことの成り行きを見守っていた局長の喉が、ごくりと鳴った。
「さすが……っていうか、総司!」
平助くんの叫び声でハッとする。
いつの間にか背を丸めた総司の背後に、朧が忍び寄っていた。
その手には、副長を撃ったときの小銃が。
「総司っ、早く離れて!」
あたしたちの声は聞こえているみたいだけど、まだ咳き込み続ける総司は動くことができない。
銀月さんはまだばたばた動いている加納から牙を離せず、平助くんは敵を凍らせている途中。
ふたりとも手が離せない状況だ。
その隙をつき、朧は小銃の引き金に指をかけ、総司の頭に突き付けた。



