幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



松本先生の悲しい宣告のあとも、まだ何も知らされていないであろう局長は、明るくふるまい続けていた。


そんな局長のそばで、総司もまた変わらずに護衛を続けていた。


「今年は三人で年越しですね」

「すまんなあ、こんな怪我人と一緒じゃ、酒も飲めなくて」

「俺たちは酒は飲みませんから、大丈夫ですよ。永倉さんたちなら暴れるかもしれませんけど」


三人で冗談を言いながら、屯所にいるみんなのことを思い出す。


局長も総司もいない屯所で、副長はいつも以上に気を張り詰めているんだろうな。

御陵衛士の残党は、局長を襲撃した後に逃げたってことだったけど、他のみんなは無事でいるかな。


そんなことを思いながら、あたしたちは静かに年を越し、正月を迎えたのだった。



慶応4年1月。


やけに冷えるなと思い、綿入れを持って局長の部屋に向かう途中、はらはらと白い雪が空から舞い降りてきていた。


とっくに日が暮れている暗い夜空に、雪が月光を反射して銀色に光る。


「ごほ、ごほ……っ」


雪に見とれそうになったあたしの耳に入ったのは、誰かが咳き込む音だった。


その音がした局長の部屋の方を見ると、総司が廊下に出て背中を丸めていた。