禍根……たしかにこいつらは災いの元みたいなものだけど。
「私が行きましょう。楓様は、ここを動かないでください」
銀月さんがすっと前に出て、狼の姿に戻る。
「なんと、狼のもののけか」
朧が感心したように言うと、銀月さんはぐるると喉を鳴らした。
「お前たちが変身できたということは……」
総司は暗い結界の上を見上げる。
けれど、そこに月はない。
「俺たちは純粋なもののけだからね。総司は無理するなよ!」
平助くんはそう言うと、ふうっと細く息を吐き出す。
それは氷の結晶となり、敵の尾っぽにこびりついていく。
「凍らせようとしても、無駄だ。裏切り者め」
元御陵衛士の敵は平助くんにそう怒鳴ると、蛇のように裂けた口から、紫色の霧を吐き出した。
「局長、あれを吸っちゃダメです!」
あれはたしか、毒霧だ。
吸ったものはたちまち眠ってしまう。
局長は慌てて、着物の袂で鼻と口を覆い、その場に屈みこんだ。
「くそう、俺も刀さえあれば……」
悔しそうに言うけれど、もちろんここには局長の愛刀はない。



