幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「朧(おぼろ)殿、こやつらは伊東先生の仇。我らに始末させていただきたい」


御陵衛士の残党……たしか加納という名前だった気がする。

彼が忍に向かって提案した。


どうやらあの忍は、朧という名前らしい。

聞いたことあるようなないような……。

どうにかならんのか。あたしのアリより少ない記憶力。


「ああ、思う存分やれ。俺は宇都宮攻めで疲れているからな」


朧が短刀を下ろし、代わりに御陵衛士たちが前に出る。


張りつめていく空気の中、局長が口を開いた。


「総司、そんな体でどうして来た?
俺よりも楓くんを大事にしてやれと言ったじゃないか」


「たしかに楓は大事ですが、俺にはあなたを見殺しにすることなんてできません」


「馬鹿な……見捨ててくれれば良かったものを」


「俺をこんな馬鹿な奴にしたのは、あなたですよ近藤先生。
俺はあなたの背中を見て育ったんですから!」


言い終わると同時、総司は地を蹴り、加納に向かっていく。


その後を追い、平助くんがもう一人の御陵衛士の方に走っていった。