幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「運が悪かったな。お前たちは、ここから出ることはできまい」


忍もその手に短刀を持つ。


そうやってにらみあっている間に、結界の中が夜のように暗く染まっていく。

その闇に飲まれて、見物人も太刀取も見えなくなっていった。


「普通の人間に見られては、こっちも都合が悪い」


あっという間に結界の中には、あたしたちと忍しかいなくなる。


「こっちにとっても好都合じゃん!」


こうなれば、敵は一人だけ。

と思ったら、彼の後ろから二人の人影が。


「あっ、お前たちは!」


何の前触れもなく現れたのは、どこかで見覚えのある男たちだった。

平助くんがさっと顔色を変える。


「御陵衛士の残党だな。お前たちが、近藤先生の正体を見破ったってわけか」

「あー!本当だ!」


そうだ、見覚えがあると思えば、こいつら、油小路事件のときに逃げた、御陵衛士の残党だ。


「墨染で先生を狙撃したのも、お前たちか」


総司の声から殺気が立ち昇る。