幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



けれど、その瞬間、足元がぐにゃりと歪んだ。


「えっ?」

「なんだ、これ……」


どうやら、揺れを感じたのはあたしだけじゃないみたい。


歩みを妨げられたあたしたちは、その場で立ち止まってしまった。


「結界です!早く、外へ!」


銀月さんの大声でハッとする。


大地が揺れているんじゃない。

誰かがこの辺り一帯に大きな結界を張ろうとしているんだ。

そのせいで、空間が揺れている。


慌てて走るも、透明な見えない壁にぶち当たってしまった。


「くそっ、なんなんだよこれ!」


もう少しで逃げられるところだったのに。

平助くんが悔しそうに声を上げる。


結界を張れるなんて、ただの人間の仕業じゃない。


「お前たちは……もしや、一昨日会ったか?」


後ろから声がして、振り向く。


そこには、宇都宮城攻防戦で、副長の足を撃った岡崎一族の忍が立っていた。


口元を隠しているけれど、そのくぐもった声には聞き覚えがある。


「お前がこの結界を?」


結界も呪術も、術者を殺せばその効力はなくなる。

総司は忍に向かい、剣を構えた。