幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



銀月さんの言う通り、風を操るイタチのもののけに協力してもらい、追い風に乗ったあたしたちは、急いで板橋へと向かった。


振り落とされないようにしがみついている間に、まだ少し赤かった空はあっと言う間に暗くなり、そして気づけば東から太陽が昇り始めていた。


夜明けの紫色の空が浅葱色に変わってきたとき、ある林の中で銀月さんの足が止まった。


「着きました。お体は大丈夫ですか?」


あたしたちは銀月さんの背中から降りる。


一晩中座っていたせいか、足元がふらふらとした。


総司はもっと辛そうで、少し咳き込んでから呼吸をすると、喉からひゅうひゅうと乾いた音が漏れる。


けれど、総司は息を整えて前を向いた。


「大事ない。近藤先生はどこだ?」

「頭領、あちらを」


人間の姿に変身した銀月さんが指をさす。


そこには、罪人が座らされるようなむしろが引いてあり、その周りには見物人が入って来られないように、竹を交互に組んで作った柵が立てられていた。


ちょうどそこへ、体を縄で縛られた近藤局長が連れてこられた。