幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「なんで……」

「ずっと人狼でいることを恥じてきたお前だ。それくらい、聞かなくたってわかるさ」


あたしが総司の決意を話してしまったことを、副長は一言も言わなかった。


「土方さん、あんたは優しすぎる」


総司は吊り上げていた眉を下げ、震える声で言った。


「そうして近藤先生が亡くなったら、全部自分のせいにして、一人で背負い込んでしまうつもりでしょう?」


そう言われた副長は、黙ってしまった。

自分でも気づいていなかった図星を、つかれたような顔をして。


「間に合わないかもしれない。でも、何もせずにただ死の知らせを待つことだけはできない。
あんたが行けないなら、俺が一人でも近藤先生のもとに行きます」


そうきっぱりと言い放った総司が、あたしの顔を見つめる。


「悪いな……楓。人間として死にたいって、言ったばかりなのにな」

「総司……」

「でも、近藤先生の命には代えられない」


あたしや新撰組のみんなとの記憶を手放すことができないから、人間のまま寿命を全うしたいと言った総司。


そんな彼が、近藤先生のためにもののけになろうとしている。