「なんで……」
「ずっと人狼でいることを恥じてきたお前だ。それくらい、聞かなくたってわかるさ」
あたしが総司の決意を話してしまったことを、副長は一言も言わなかった。
「土方さん、あんたは優しすぎる」
総司は吊り上げていた眉を下げ、震える声で言った。
「そうして近藤先生が亡くなったら、全部自分のせいにして、一人で背負い込んでしまうつもりでしょう?」
そう言われた副長は、黙ってしまった。
自分でも気づいていなかった図星を、つかれたような顔をして。
「間に合わないかもしれない。でも、何もせずにただ死の知らせを待つことだけはできない。
あんたが行けないなら、俺が一人でも近藤先生のもとに行きます」
そうきっぱりと言い放った総司が、あたしの顔を見つめる。
「悪いな……楓。人間として死にたいって、言ったばかりなのにな」
「総司……」
「でも、近藤先生の命には代えられない」
あたしや新撰組のみんなとの記憶を手放すことができないから、人間のまま寿命を全うしたいと言った総司。
そんな彼が、近藤先生のためにもののけになろうとしている。



