幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「……明日、板橋刑場で、斬首されるそうです」


銀月さんの声が、あたしたちの間に落ちた。

まるで、雷みたいに。


「斬首……」


何も考えられなくなり、指先が震えた。

局長が、殺されてしまうなんて……。


「ウソだろ……しかも明日かよ」


平助くんが全身の毛を逆立ててうなる。


副長は深いため息をつき、座ったまま前髪をくしゃりと握りつぶした。

あまりのことに、声も出ないみたい。


「副長……」


総司の死を覚悟したとき、副長はまだ希望を持っていた。


あたしたちはただ、局長や総司を信じて前を向いていよう。

そう言って、励ましてくれたのに。

あたしたちの希望が、ひとつなくなろうとしている。


「土方さん、俺が板橋に行きます」


うなだれていたみんなが、ハッと顔を上げた。


「銀月、頼む。力を貸してくれ」


強く前を向いていた総司が、銀月さんに向かって頭を下げる。


でも、今は宇都宮から会津に向かっている途中。

銀月さんがどんなに急いでも、明日までに板橋に着くのは無理じゃないだろうか。