「沖田君、きみならわかるだろう。刀は両手で振るうものだ。
左手一本では到底、今までのような威力の剣はふるえまい」
「右肩は治らないということですか」
「普段の生活はできるようになるだろう。指も動くようだしな。
しかし、剣を使うような大きく、かつ繊細な動作は難しい」
松本先生は、希望的観測はいっさい述べず、事実だけを淡々と話す。
局長が、もうその刀を元のように使うことができないだなんて……。
考えただけで、目の前が暗くなっていくような気がした。
今は幕臣となり、自らが戦闘の場面に赴くことは少なくなった局長だけど、一度池田屋で見た剣筋は、そりゃあすごいものだったのに……。
「そう、ですか……」
総司はそう言ったきり、黙ってしまった。
悔しそうに唇を噛む姿が痛々しい。
剣を振るえなくなるということが剣客にとっていかに辛いか、この中で一番理解しているのは総司だろう。
「私には、お前さんたちの道を決める権利はない。
このまま近藤さんについて戦に赴くなら、それなりの覚悟はしておけよ」
松本先生は真剣な顔で、あたしたちを見つめる。



