幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



射撃は再開され、弱った敵は次々に倒れていった。

弾幕から逃れるためにその場から離れたあたしたちは、忍のもとに向かう。


「お前には色々と聞きたいことがある」


総司が刀を構えると、忍は首を横にふった。


「悪いが、何も話すことはない」


そう言うと、懐に手を入れた。

取りだされたのは、片手で持てるほどの小さな小銃。


「ちっ!」


総司はその手首ごと切って落とそうとしたのか、片手で忍に切っ先を突き出す。

しかしその速さ以上の俊敏さで、忍は刃を避け、引き金を引いた。


とっさに総司があたしの体を突き飛ばす。

けれど、標的はあたしじゃなかった。


なんとか転ばずに体勢を立て直そうとした視界の端に、赤い虫が飛んだのが見えた。


「土方さん!」


総司の声でハッとする。

赤い虫だと思ったのは、血液だったんだ。

それは、最前線にいた副長のつま先から飛んだみたいだった。


「副長……?」


副長の長靴の先がやぶれ、そこから地が赤黒く染まっていく。