幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「簡単な呪術だ。彼らの内にあるもののけの力を、無理やり引き出すだけ」


夜になるのを待たず、無理やり引き出された力で、彼らは戦っている……。


そういえば、芹沢も昼間からタヌキのしっぽを出していたりしたっけ。

あれは、芹沢と同化したもののけの力が強かったからなんだろう。


「斬れ!敵を全滅させるのだ!」


忍が叫ぶと、近づいてきていた敵が一斉に刀を抜いて、味方に斬り込んできた。


「ここは俺たちに任せろ!一旦後退し、射撃で援護するように!」


副長が怒鳴ると同時に、味方が全力で後方へ駆けだした。

彼らを守るように、副長、平助くん、総司が前に出る。


「どんな強力なもののけを殺して食ったか知らないけど、お前らせこいんだよ!」


平助くんが狐の姿に戻り、白い線となって敵の間に飛び込んでいく。

夜に見るときより少し遅いようだけど、それでも十分な速さだ。


どうやら平助くんは氷の力以外は、昼でも使えるみたい。さすが、本物のもののけ。


平助くんががぶりと一人の頭に噛みつくと、敵がかぶっていた陣笠が脱げて、砂の上に転がった。