副長のすぐ近くにいた幕兵が、声を上げる。
前方を見ると、戦いの煙の中、新政府軍が銃を構えたままこちらにじりじりと近づいてきているのが霞んで見えた。
当然、味方は銃で攻撃する。
しかし、銃弾を受けたはずの敵は、血を流しはするものの、なぜか一向に倒れる気配がない。
ゆらりゆらりと、亡霊のようにこちらに向かって歩き続けている。
「なんだありゃあ……」
「ば、ばけものか?」
まさか、もののけ?
「楓、見えるか」
副長に呼ばれ、あたしは前線へと駆けて行く。
敵がいる煙の中にじっと目をこらすと、敵の手の甲に、鱗のようなものが日の光を反射するのが見えた。
「もののけと同化した人間みたいです」
まさか、こんな真昼間から彼らが投入されるなんて。
背中を冷汗を流れると同時、副長が大きな舌打ちをした。
もののけの力は夜にならないと発揮されないはずなのに、彼らはおそらく体中を覆っている鱗のおかげで、銃弾から身を守ることに成功している。
このまま近づかれて白兵戦になれば、人より強い力を持った敵に、味方はますます不利になるだろう。



