幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



慶応4年4月23日


新政府軍はすぐに、武力強化して戻ってきた。

その勢いに押され、旧幕府軍は宇都宮城に撤退していた。


「逆に追いやられるとはな」


副長は自嘲気味に吐き捨てる。

朝に始まった戦いは激しさを増し、気づいたらもう昼だった。


土方隊は松が峰門付近で、押し寄せてくる新政府軍と戦うことに。


大砲や銃の音で、お互いの声さえも聞こえづらい。


「お前らは待機だ!勝手なことをするんじゃねえぞ!」


「けど、土方さん……」


「文句は鉄砲の一発でも撃てるようになってから言いやがれ!」


副長は有無を言わせず、あたしたちに待機を命じた。


他の幕兵は板の間から銃を撃っては、撃ち返される弾丸を避けてしゃがむ。

敵の銃弾が味方の肩をかすめ、悲鳴が聞こえる。

少し離れたところには大砲が撃ち込まれ、板ごと何人かの幕兵が吹っ飛んだ。


「ちっ!ひるむな!撃て!」


兵力を増強した新政府軍はやはり手強い。

この前みたいに逃げ出す者はいないものの、土方軍は苦戦を強いられていた。


「さ、参謀!あれは何でしょうか!」