局長の傷は、そう簡単に癒えるものじゃない。
さらに、剣客としての命を奪いかねない傷だ。
早く良くなるといいけど……。
「では、私たちはこれにて。近藤さん、本を読んだりするのも結構ですが、できるだけ横になっていてくださいよ」
そう指示すると、松本先生はあたしにも一緒に部屋の外に出るように命じた。
局長がゆっくり休めるようにするためだ。
「何かありましたら、何なりとお申しつけくださいね」
部屋を出るときにそう言って振り返ると、局長はいつもの明るい笑顔でうなずいてくれた。
局長の部屋を離れ、縁側にさしかかると、庭で総司が素振りをしているのが見えた。
真剣な顔で一心に刀を振るその様子は、何かを振り払おうとしているようにも見える。
「おーい、沖田くん」
松本先生が呼ぶと、総司はすぐに刀をおさめて近づいてきた。
「なんでしょう」
「お前たちには話しておこうと思ってな」
顔を寄せるように指で指示されたあたしたちは背を丸め、先生の言葉に注意深く耳を傾ける。
「……近藤さん、もう刀は振るえねえぞ」
「なっ…」
「そんな!」
突然の残酷すぎる宣告。
先生は驚いたあたしたちを「しっ」とにらむ。



