雷鳴のような怒鳴り声に、びりりと空気が震えた。
その瞬間、副長が浅葱色の羽織を着ているような錯覚に陥った。
鋭い瞳、冷たい言葉。
……鬼だ。
京で『新撰組・鬼の副長』と言われた土方歳三が、そこにいた。
「お、おおおおっ!」
「新撰組、参る!」
新撰組隊士が気合を入れ直し、刀を強くにぎって走り出す。
幕兵たちも我に返ったように、それぞれの武器を持って戦いに戻った。
それ以降、もうその場から逃げようとするものはいなかった。
「すごいな、土方さん。みんな、昔の新撰組みたいになっちゃった」
平助くんがにやりと笑う。
「この戦、勝てるな」
総司がうなずいた。
その言葉の通り、城にいた新政府軍はあえなく敗走。
副長に鼓舞された幕兵は、日が暮れる前に宇都宮城を奪取することに成功した。



