幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



雷鳴のような怒鳴り声に、びりりと空気が震えた。


その瞬間、副長が浅葱色の羽織を着ているような錯覚に陥った。


鋭い瞳、冷たい言葉。


……鬼だ。


京で『新撰組・鬼の副長』と言われた土方歳三が、そこにいた。


「お、おおおおっ!」

「新撰組、参る!」


新撰組隊士が気合を入れ直し、刀を強くにぎって走り出す。

幕兵たちも我に返ったように、それぞれの武器を持って戦いに戻った。


それ以降、もうその場から逃げようとするものはいなかった。


「すごいな、土方さん。みんな、昔の新撰組みたいになっちゃった」


平助くんがにやりと笑う。


「この戦、勝てるな」


総司がうなずいた。


その言葉の通り、城にいた新政府軍はあえなく敗走。


副長に鼓舞された幕兵は、日が暮れる前に宇都宮城を奪取することに成功した。