「複数で斬りかかるなんて、せこい!」
あたしは懐から苦無を取り出し、敵の足元に投げつけた。
「わああっ」
何本かは走っていた敵の足を傷つけることに成功した。
けれど。
「邪魔だ、どけっ!」
副長は怒鳴ると、自分から敵の群れに突っ込んでいく。
力任せになぎ払われた刀を、膝をついて避ける。
立ち上がると同時に地を蹴り、一人切り上げたと思うと、着地しながらもう一人を袈裟懸けにした。
噴きあがる赤に染まるその姿は、鬼そのものだった。
「て……撤退だ!」
敵は一旦退いていく。
「よし、一同隊列を組みなおせ!門へ近づくぞ」
「おう!」
味方はぞろぞろと副長についていく。
「……やっべ、斬られるかと思った」
平助くんがのっそりと、隠れていた茂みから顔を出す。
「あいつら、普通の人間ばかりだったな。城の中もそうだといいけど」
「うん、油断できないね。っていうか、体は大丈夫?」
「ああ、今のところはな」
総司は何食わぬ顔で言う。
今日は調子がいいみたいで、ほっとした。
けど、おとなしくしているときより、戦ってる時の方が調子がいいってどうなのよ。



