幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



慶応4年4月19日


約2千の土方軍は、明け方に宇都宮城下に入った。


「日暮れまでに城を落とす!行くぞ!」


土方副長について、旧幕府軍は勢いよく進軍していった。

旧式の武器しか持っておらず、数の上でも劣勢の敵の士気は低く、味方は着実に城へと近づくことができた。


「ここでも銃どうしの戦いなんだね」


敵味方関係なしに、銃声がひっきりなしで聞こえる。

城の南部、下河原門付近では激しい攻防が続いていた。


「撃てっ!」


副長が命じると、城に向かって大砲が火を噴く。

やがて、城から煙と炎がちらちらと見え始めた。


「俺たち、普通に活躍できねー……ま、もののけや忍が出てこないだけ幸運か」


あたしと平助くんが最後尾のさらに後ろ、竹藪の中に隠れて味方の様子をうかがってぼそぼそ言っていると、総司が言った。


「いや、わかんねえぜ」


そちらを見ると、竹藪の向こうから新政府軍が近づいてきていることに気づく。

銃を持っているかもしれないと思って、慌てて身構えるけど、彼らが持っているのは、どうやら刀みたい。