幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



総司。


総司。


あたしこそ、ありがとう。


出会ってから、色々なことがあったね。


つらいことや、悲しいこともたくさんあった。


戦い続けた毎日。仲間の死や、挫折や、敗北。


その間にあった、つかの間の安らぎ。


初めて知った、唇の熱さ。


あんたが噛みついた、首の傷痕。


口から心臓が出るくらい緊張しながら、その腕に抱かれた日。


これからもずっと一緒だと言ってくれた、桜の蒔絵の櫛。


あんたと過ごした日々の全部が、あたしの宝物だよ。


そして、あんたもそう思っていてくれるなら……こんなに幸せなことはない。


「近藤先生と約束したんだ。
生きている間は、全身全霊をかけてお前を守る」


そう言うと、総司はぎゅうっと力を込めて、あたしを抱きしめた。


あたしは泣きながら、深く息を吸いこむ。


総司のにおいを忘れないように。

この腕や胸の温かさを。

低く、あたしの心を揺さぶる声を。


忘れないように、魂に刻み付けて、生きていくんだ。