「……ごめんな。夫として、何もしてやれないで」
「あたしだって、嫁らしいことなーんにもしてないよ」
「そうでもねえだろ」
ぽつりぽつりと、総司は京にいたころの思い出を語る。
炊事場で一緒にみんなの食事を用意したこと。
冬の冷たい水にも負けずに、汚れた着物を一生懸命洗った手が、氷みたいに冷たくなったこと。
破れた着物を繕えば、へたくそすぎて笑われた。
「人狼の俺の傍にいてくれた。それだけで、どれだけ救われたことか」
総司がそっと、あたしを抱き寄せる。
それが限界だった。
とうとう我慢しきれずに溢れた涙が、彼の胸を濡らす。
「ありがとう」
低い声が耳から入って、胸の中にすとんと落ちた。



