「……大丈夫だよね。局長は、無敵だもん……」
自分に言い聞かせるように総司に話しかけると、総司の手がそっと、膝に置いたあたしの手に覆いかぶさる。
「ああ……すぐ、元通りになるよな」
総司の言葉もまた、自分自身に言い聞かせているようだった。
脳裏に浮かぶのは、山南先生が右腕の自由を失った、あの悲しい日々。
剣が振るえなくなったら、近藤先生もまた、生きる気力をなくしてしまうのだろうか。
「近藤先生だけは、他の何にもならないよな。
きっと、すぐに、いつも通りに笑って……」
山南先生は、死んでしまった。
平助くんは、もののけになってしまった。
あたしが新撰組に来てから、あまりにも多くのことがありすぎた。けれど。
「当たり前じゃん!局長はすぐ元気になるよ!」
うなずいた総司の手が、ほんのわずかだけど、震えているような気がした。
お願いです、八百万の神様。
局長は皆の心の支えなんです。
どうか、これ以上新撰組の支えを奪わないで……。
あたしたちは、そのまま局長の傍で夜を明かした。
すると翌朝局長は目を覚まし、みんなが峠を越えたのだと喜んだ。
それから何日か後……とうとうあたしと総司は、局長と一緒に大阪に下ることになったのだった。



