「私はメイプルソースのパンケーキ。美海ちゃんは？」
「えっと…ラズベリーパフェで。」
「あたしはチーズハンバーグ、ライス大盛りで。」
「あとドリンクバーを3人分。」
「かしこまりました。ドリンクバーはカウンター横にございます。ごゆっくりお過ごしください。」

　店員が去った。座席の配置はソファー席に福島、その向かいの椅子席が玲菜で、玲菜の隣は美海だった。

「先にドリンクどうぞ。」
「店長は何を飲まれますか？持ってきます。」
「あーじゃあお願いしちゃおうかな。カフェラテで。」
「はい。お持ちします。」
「いい子ぶっちゃって。」
「もー…玲菜ちゃんは美海ちゃんが何をしても気に入らないって感じ。」

　そう言って軽く笑える福島が大人に見える。福島ならばたとえ美海のように誰かに一方的に嫌われるようなことになっても今と同じように笑っていそうな気さえする。
　美海はコーヒーカップを用意し、カフェラテのボタンを押してから、自分用にカルピスを用意した。

「そういうの、飲むんだ。」
「え…？あ、私、カルピスが好きで…。」
「女子大生ってもっとお洒落な飲み物飲むのかと思ってた。」
「っ…こ、子どもっぽくてすみません…。」

（お洒落な飲み物って…店長みたいなってこと…？）

　美海は自分の持つカルピスを見つめた。カフェラテはぎりぎり飲めるが、コーヒーをブラックでなんてとてもじゃないが飲めない。

「ありがとう、美海ちゃん。」
「お砂糖とかミルクとかは持ってこなかったんですが、大丈夫ですか？」
「うん。大丈夫。さて、やけ食い予定の玲菜ちゃん、早速本題といきましょうか。」

　そう言って福島は腕を組んだ。

「一体何があって泣き喚いたのかな？」
「泣き…喚いた？」
「…なんで泣いたこと言うの、店長。」
「それ言わないと始まらないでしょ。」

　玲菜は一度、美海を見た後に重そうに口を開いた。

「…圭ちゃんにふられた。」