* * *

「なんでこの人連れてきたの店長!」
「え~だってうちの職場の女子って私と玲菜ちゃんと美海ちゃんしかいないじゃない!」
「…あの、私帰った方が…良いですか?」
「当たり前じゃん!なんで来たのよ!」

 誤解は解いたはずなのに、やはりまだ嫌われているようだと思って美海は少しへこんだ。玲菜はというとカンカンに怒り、福島を睨んでいた。そんな様子を福島はニヤニヤ笑っている。この場を楽しんでいるのは福島しかいない。
 美海は完全に萎縮してしまっていた。申し訳なさで胃が痛む。今日の美海はバイトがなかったが、福島からラインで連絡が来て、特に用事もないのに断るのも申し訳ないと思い、福島の勤務終了に合わせて書店に向かった。そして今に至る。

(…店長、玲菜ちゃんが来るなんて一言も…!)

「そう怒りなさんな。相談があったんでしょ?私みたいなタイプと美海ちゃんみたいなタイプに相談すれば大体の悩みは解決よ。」
「そういうことじゃないっ!あたしはこの人にだけは言いたくない!」
「なんでー?あ、もしかして、ライバルなの?」

 そう言って福島は美海を横目で見つめた。その視線を感じて美海は顔をぶんぶん横に振った。福島といえば完全に面白がっている。美海は逃げ場が見つけられなくて困りきってしまう。

「ら、ライバルだなんてそんな!」
「そういう態度がうざいのよ!」
「こら玲菜!それは言い過ぎ。」

 福島は、玲菜を叱るときだけ呼び捨てになる。

「とにかく中に入りましょ。美海ちゃんが関係あるにせよないにせよ、せっかく集まったんだし女子会よ女子会!」
「…私、帰った方が…。」
「そうよ、帰れ帰れー!」
「それは店長の権限により許しません!女子会!」

 全くお洒落ではない普通のファミレスで急遽、10代高校生、ぎりぎり10代女子大生、アラサー女性を構成員として女子会が始まった。

「もー帰れって言ってるじゃん!」