興奮した光は葵をじっと見ている。

そうだよね。 葵は確かに中性的な綺麗さがある。

ちょっと不思議で、親に押し付けられてきただけで。


――すぐ人気者になりそうな。


クラスの皆に囲まれる葵と皇汰の輪に、入る気もなれなくて遠巻きに見ていた。



「好きな食べ物はおにぎりっ」

「やだ可愛いー」


クスクスと笑われても葵は優しく笑う。

「――本当だよ。大好き」


キャー

倒れそうな女子達の悲鳴の中、私に言われたわけじゃないのに……何だかドキドキした。





「天然は質悪いわー」

皇汰の苦笑いに私も心の中で同意した。

クラスを二分しそうな葵の人気は授業でも変わらずに。


天才児の葵と学年首位の皇汰。

この二人の一騎討ちだった。