皇汰と岸六田先生はすれ違う時、視線さえ合わさなくて。

なんだかちょっぴり切なくなった。




ガラガラガラガラガラ


キャリーケースをドラガンさんが。

お婆ちゃんからの重箱4つを皆一個ずつ持ちながら、地面に伸びた陰を背に歩き出す。


「まだお婆さんこっち見てるぞ」

皇汰が振り替えると、門の前にお弟子さんたちと一緒に並んでこちらを見ている。

葵やリヒトとトールさんは呑気に手を振っているけど。



こんな花忘荘の皆と並んで帰っていく日がまた来るなんて思いもしなかった。




「皆、ありがとう」


そうお礼を言うと、皆がにっこり笑ってくれた。


岳リンさんからの鬼電を無視しながら、皆でふざけあって帰った。


長い影が、いつの間にか夜空に溶け込むまでずっと。