火傷みたいに、熱く水膨れになって破れてぐずぐずと私の心に広がっていく。


優しく心が溶かされるような。


――優しい葵の甘い笑顔に身体中が満たされていく。


吸い込まれていく。


「好き。――明日は起こしてね」


「葵!」


窓から離れていく葵に叫ぶ。

気づけば服を掴んでいた。


「――ん?」


「あ、お休みなさい……」


切なくなる。

なんでこんなに切なくて泣きそうになるんだろう。


キスしても、
抱き締められても、

まだ足りない。

満たされないぐらい切ない。



この気持ちは皇汰とは違う。


キスしたら流れ込んできたこの気持ちの。


この気持ちの名前を教えて。





「うん。お休みなさい」