痛みは後から来る。

風と共に音が鳴る。

その後に、――痛みが走る。全身を駆け巡る。


殴られたと気づくまでに、数秒かかってしまった。

お婆ちゃんには、花忘荘に侵入したい訳は正直に伝えた。



『学校に来なくなった皇汰を更生させたい』


と。

でももう皇汰は学校に戻ってきている。

更生も何もあれはただのパフォーマンスだっただけ。


私が花忘荘に居る理由は、無くなった。


『好きな人のそばに居たいから』

そんな理由を、お婆ちゃんの目を見て真っ直ぐに言える気はしない。

迷いがあるから……きっと言えない。


そんな私に、お婆ちゃんはただ帰るように言ってきた。

だから私は、――これだけは言う。