彼からもらった菓子パンはみんなが寝た後にコッソリ、大事に食べた。
「あぁもう!!お金がないっ……。うちは本当に火の車だよっ!?」
「何でお金が残らないんだ……」
「あのろくでなしのせいだよ!!本当にうちは人間のゴミの集まりだね」
茶の間から聞こえる、祖父と祖母の嫌な会話。
私はそれを盗み聞きした。
ふすまを少し開けて中の様子を窺いながら。
伯父が居候状態になってから、家の中の空気は悪化の一途を辿る一方。
ここ最近、母親もあまり家に帰ってこない日が増えた。
ふすまをゆっくり閉めて、2階に上がって、彼からもらったパンをかじった。
「おいしい……」
暗い気持ちがなくなって、少し元気になれた。

