月光の下





あ、そういや私、何も買わなかった……。


パン屋さんなんだから、
何か1個くらいは買うべきだったな。




でもお金が……。



「はぁ……」



虚しくなって、ため息が出た。




友達もいない。
家族に愛されてない。
才能もない。
お金もない。


何もないじゃん……。人類のゴミみたい、私。




「……おい。奈柚っ!!」


「え……」



大声で名前を呼ばれて、腕を掴まれた。





「……一宮さん?」



私の腕を掴んだのは一宮さん。