私は、近くにあるベッドに座った。
『キズが、痛むの』
「キズが?」
先生は、拉致されたことを知らない。
だから、あの事は言えない。
『うん。10日前から』
「なんですぐこない?」
『…いろいろ、あって』
まぁ、いろいろっていうか、倉庫にいってたんだけどね?
様子見ようかな~って、おもってね。
でも、日に日に痛みが強くなるから、今日来てみた。
「はぁ、めくれ」
先生は聴診器を耳にはめる。
『ん』
恥ずかしいんだよね、これ。
「すこし鼓動はやいな」
それは先生のせいでもあると思うけど。
「まぁ、どんな痛みだ?」
先生は、耳からはずし、パソコンをいじる
『ズキッとする。日に日に痛みが強くなってくの』
痛むキズに触れる。キズはナイフが二回刺さった跡が残っている。
一回はあのとき、二回目はあいつに。