先生に、服のボタンをはずされて、


お腹にヒヤッとしたものが触れた。


ナイフ…?!!



ーーいっ…やっ!!!いやっ!!!


ーー〈大丈夫、ナイフじゃないよ。〉



よく見てみると、聴診器だった。

私は、安心した。



あ…。これ、刺された時の…??



ーー〈はい、大丈夫だね。蘭ちゃん。一つ、謝らないといけないことがあるんだ〉



謝ること?なんだろ



ーー〈蘭ちゃんが、あの日、刺されてから、8年たったんだ〉



8年…。なら、今は、13歳って、こと?



ーー〈それでね、蘭ちゃんが寝ている時に、何回も心臓が止まって、今、奇跡的に生きてるんだよ〉



心臓が、止まって…。なら、何回も死んでるって、こと?



ーー〈それでね、本当は、今頃、蘭ちゃんは天国にいってるんだ〉



それじゃあ、私は…。

私は、先生の言うことが、わかってきた。



ーー〈…蘭ちゃんは、死んでることになってる。〉



やっぱり…。



8年もたってるんだ。それに、何回も心臓が止まっている。

なら、みんな、もう死ぬ、と、わかってしまう。


だから、か。



ーーじゃあ、私は…


ー〈これから、花園 蘭。では、生きていけない。だから、新しい名前で生きるんだよ。
死んだ人は、生き返れないからね〉