とうとう…来てしまった。
今日は12月24日。
クリスマスイブ。
でも私には、そんなこと頭に入ってこないくらいに重要な出来事が、
今日行われる。
もうちょっと先にすれば良かったかもな。
そんなこと今さら考えても遅いのに
当日になって緊張して学校に行くことすら憂鬱になってくる。
まぁそれでも学校には行かなきゃ行けないわけで。
校門をくぐると、
たまたま朝練終わりの浅井と八田を見かけた。
「平井!!おはよー」
あまり見たことのないユニフォーム姿に、少しだけ胸が高鳴る。
気をきかせてか、八田は先に行ってしまったよう。
「おはよ」
私はというもの、いつものように素っ気ない返事をしてしまう。
…本当は、こんな風にしたいんじゃないの。
もっと可愛らしく、おはよう!!
って。
元気に挨拶したいけど。
私の馬鹿。天の邪鬼。素直じゃないやつ。
なんで浅井の前では、こんなに可愛くないんだろ。
浅井は
「今日クリスマスイブだなー」
なんて呑気に笑ってる。
私の気持ちも知らないで。
ちょっとだけ悔しくなる。
「とっとと着替えてきなよ。
どうせ今年もあんたはお一人クリスマスでしょ?」
…私だって、こんなこと言いたいわけじゃないの。
すると
「どうせ平井も一人だろ?」
浅井は無邪気に笑って私を見つめる。