ムーンケーキ



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 昨日、自転車がパンクしてしまった。青司に相談したら、自分が行ってるバイクショップに電話してみると言ってて、バイクと自転車って違うだろうがと思ってしまった。

「まあでも、今度の職場も電車で行けるから良いけど」

「だよなー。まさかの音楽つながり」

 校長が紹介してくれた音楽教室の事務員として働くことが決まって3ヶ月ほど経った。まだ慣れないし、分からないことだらけだけど、新鮮で良い。小学生から大人まで来る音楽教室で、ピアノやバイオリン、ギターなど楽器ごとで教室が分けられているところだった。

「俺も習いに行こうかなぁ」

「なに? ギター?」

「ピアノ」

 青司がピアノ……。ガラじゃない。

「なんか似合わないから止めたら?」

「ひどくない? なにそれ」

 青司と、電話での会話だ。

 彼はいま、ツアーで大阪に居る。そこから東京でライブをし、事務所と打ち合わせをして帰って来るらしい。

 来週帰ってくるとか来ないとか。予定は変わるかもしれないけれど、まぁ、元気ならとりあえず安心です。毎日電話だメールだって来ているし。

「東京のチケット届いたから。新幹線の切符はまだ取ってないけど

「良かったー。あとマネージャーさんに話してあるから迎えに行って貰う」

「いや……子供じゃないし、いらないよ。ひとりで行けるよ……」

 前のライブの時もそうだったけど、迎えなんかいらない。ひとりで出来るったら。

「東京だよ? 赤坂だよ? 来られるのひとりで。迷子になったらどうするんだよ」

「なんないよ! なったらコンビニにでも寄って聞くわ。田舎者扱いしないで。失礼ね」

 青司よ。きみはあたしをなんだと思ってるんだ。中学生じゃないんだぞ。

「夜はどうすんだよ」

「適当に沿線のホテルに泊まるわ。せっかくだから次の日に大丸とか行きたいし」

「仙台からのファンの為に、最終の新幹線に間に合うように終わるよ。一応」

「なんで仙台のファン?」

「俺ら仙台のバンドだから」

 なるほど。