先生が全然怒っていないとわかった日のお昼。


あたしはかんなと2人、また中庭に来ていた。


「今日はいい天気だねぇ」


四方を校舎に囲まれている中庭も、随分と気温が高い。


「本当だ。結構熱いね」


中庭にレジャーシートを敷きながら返事をする。


それでも中庭でお弁当を広げている生徒は沢山いて、あたしたちも仲間入りすることにしたのだ。


お弁当を広げて他愛もない会話をしていると、不意に先生とのキスを思い出す。


今日のキスは少しタバコの香りがするキスだった。


「ねぇ、詩。話聞いてる?」


「へ? あ、ごめん聞いてない」


ボーッと先生の事を思い出していたから、かんなの話を聞き逃してしまった。


「もう。詩、本当に大丈夫なの?」


「あはは。ごめんね」


そう言い、頭をかく。


いつか、カンナには本当の事を言わなきゃなぁ。